種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2015.04.10【Vol.213】
レンズのスペックとして一番最初に注目する部分が焦点距離ではないかと思います。焦点距離とは、例えばレンズ自体が一つの大きな凸レンズと仮定したうえで、そのレンズの中心から焦点面(フィルム面やセンサー面)までの距離を焦点距離といいます。50mm 300mmといったように何ミリと表記されているこの数字が小さくなると広い範囲が撮影でき(広角)、大きくなれば範囲が狭くなる(望遠)ということはご存知だと思います。そして、その写る範囲が画角といわれるもので、撮影面に対しての水平、垂直、対角線方向の角度はレンズの焦点距離によって決まります。レンズ焦点距離ごとの画角については表を見ていただければと思います(表は35mm判、対角線方向の画角です)。
一つ注意したいのは、ここまで35mm判を基準とした話しですが、これが中判、大判カメラになると、50mmが標準レンズ、300mmが望遠レンズという呼び方にはならないという点です。焦点距離が短ければ写る範囲が広くなり、反対に長ければ写る範囲が狭くなることには変わりないのですが、焦点距離の数値を見ただけでは望遠なのか、広角なのか実は判断できません。そのレンズがどのフォーマット(焦点面の大きさ)で使用されるかがポイントになります。画面サイズが大きくなる4x5であれば150mmのレンズが標準レンズですし、8x10であれば300mmが標準レンズになります。
デジタルカメラでもよく35mm換算という表記を目にしますが、APS-Cサイズと35mm判を比べた場合、センサーサイズの大きな35mm判では50mmを標準レンズとしますが、反対にセンサーサイズの小さなAPS-Cにおいて50mmレンズを使うと焦点距離が1.5倍や1.6倍になり、画角が狭く(この場合約75mm相当)なってしまうことがわかります。ですので、APS-Cでの標準レンズは50mmではなく約32mmの焦点距離が標準レンズということになります。言葉で書くとややこしいのですが、例えば円を一つ描き(この円が写る範囲)その円の中に大きさの異なる四角(35mmやAPS-Cなどのフォーマット)をいくつか書いて見るとイメージしやすくなるでしょう。