種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2015.05.01【Vol.216】
新緑の季節がやってきました。上を見上げるばかりではなく、足元や目の前の身近な部分にも緑は感じることができます。葉っぱ、つたのようなものでも、鮮やかな緑を魅せてくれます。新芽のアップ、天候による違い、空との組み合わせなど、広い風景から身近なところまで撮影をたのしめます。近くの公園や林道などで楽しめる新緑ですので、まずは離れた場所から観察、そして林に近づき足元を観察すればいろいろと発見できます。
撮影の実際はライティング、露出補正、ホワイトバランスの3つを考えましょう。同じ新緑でも光の当たり方(時間帯)でその色は大きく変化します。補正は、以前にも述べたように木々に覆われた森や林道で湿度のある空間の中での新緑を狙う場合は、マイナス補正が薄暗さとしっとりした表現をしてくれます。プラス補正は透過光など鮮やか、爽やかな木漏れ陽などの撮影時に行います。
ホワイトバランスですが、新緑本来がもつ緑(真緑というよりは黄色味のあるうすい緑)は順光のライティングで現れ太陽光モードにすればキレイに表現できます。光の当たり方よりも太陽の高さによる色の変化が大きい被写体ですので、オートWBを使用するよりは太陽光、曇りなどに変更していきます。作例では太陽光から5000Kぐらいに色温度を低くしたものなど、適宜調節しています。また、写真全体が青みがかり、しっとりとした雰囲気になる場合は曇りや日陰にすれば黄緑色は演出できるでしょう。
最後のレンズワークです。遠近感を強調できる広角レンズを使い枝や幹の広がりを演出し、望遠の圧縮効果を狙ってクローズアップ。離れて写る木々の間隔をひとまとまりに見せることで主題を明確にすることもできます。広角レンズでは清々しい、見上げた広い写真が撮影できますが、そればかりではバリエーションにも乏しい。望遠レンズも使用し状況に応じたレンズ選択ができるようにしていきましょう。