種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2015.07.31【Vol.229】
日光写真といっても、そのジャンルは広く、大雑把に言えば主として太陽光による画像焼付け(焼き出し)を行うもののことです。設計図などに見られる青写真もそれらの一種で、人工光を使う複写技術です。
画像の元となるネガが必要となり、またそのネガのサイズにしか複写できませんが、大掛かりな装置がなくても焼付けができる技法のため、子供の玩具としても日光写真が流行りました。板ガラスの付属した主に紙製の焼付け機を使用して、太陽の光にさらすことで感光紙に画像を浮かび上がらせるタイプのものが一般的なようで、感光紙は写真用フィルムに比べて感度がとても低い印画紙のようなものを使用し、暗い日陰などでも取り扱えたようです。
ネガおよびアニメや映画スターを模した図案の種紙というものと印画紙を合わせて日光にさらすことで画像を浮かび上がらせます。ですが、現像操作もなく観光紙に焼き出して水洗いするだけですので、時間とともに画像は消えてしまうという欠点があります。種紙の図案を見る限り少なくとも戦時中にはあったようですが、主に昭和20年代から30年代に流行したようです。現在でも玩具や実験教材として売られており、感光紙には乾式コピーアートペーパーを使用し、取り扱いの簡便化がなされています。
一方でネガを焼きつけるだけで写真や画像を得るタイプとは別の日光写真もあります。十銭カメラや一円カメラと呼ばれる日光写真ですが主に戦前の子供用玩具だったようです。本物の写真機のような形をしていて実際にシャッターを使って撮影を行います。撮影後にはちゃんとネガ現像し、出来上がったネガを印画紙に密着させて焼きつけ現像定着を行うという、本格的な玩具でした。拡大引き伸ばしが可能だったのかは不明ですが、名刺判程度の大きさで台紙に貼るとそれなりに見栄えのするものだったようです。