種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2015.07.03【Vol.225】
以前にも光の位置の話ということで、太陽の位置と被写体の関係について解説しました。
※【Vol.085】光の位置の話
被写体正面から当たる順光(正面光)、後ろからあたる逆光、斜めからの斜光(半逆光)、そして真横からあたるサイド光が基本的な光の向きです。
写真の場合、光が当たるところは明るく、そして強く当たればそこはだんだん白くなってきます。反対に光が当たっていない部分は暗く、だんだん黒くなっていきます。
通常は完全な暗闇を人工的に作らない限り、光の当たっていない部分を作ることは困難ですので、日常屋外で撮影している際完全な黒というものは写真には写りません。言い換えれば光がなければ写真は写らないわけです。以前にも述べたとおり写真は光の強さで画面の色、コントラストが変化していきます。光の強さに応じて決めるのが露出ですので、まずはじめに被写体へどのような光があたっているのか、もしくは光の強弱だけでも注目して見ると、被写体の見方が変わってきます。
作例をみてわかるように、斜光、サイド光は影が陰影がついて多少立体感が出ているように見えます。影が増えてくるので少し暗い印象も受けます。逆光は肝心の正面のディティールは暗く落ち込んでいますがその分、箱の天井部分がしっかりと明るく照らされています。一方正面光はその名の通り、箱の正面ラベルの四角はしっかりと写っていますが、その部分だけ平面的な印象があります。そして、トップライト(被写体真上からの柔らかいひかり)の場合、強い陰影はなく、柔らかい印象の光で箱の存在感は出ています。よく簡易型のディフューズボックスで撮影するとこのような写真が手軽に撮影できます。
以上のように光の当たる位置を変化した作例を見たところ、それぞれに違いが出ることがわかりました。
もちろん屋外の風景撮影や建物の撮影、スナップの撮影など被写体を動かすことのできない被写体は、基本的にそのときの光で撮影しなければなりません。ただし、このように光と被写体の関係をちょっと理解しておけば、移動や時間帯で光の向きや角度をつけることによる被写体の変化を楽しむことができるのではないでしょうか。のっぺりした写真が好み出なければ半逆光で撮影するなど、いろいろと応用ができそうです。