種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2015.12.25【Vol.250】
以前にもお話しましたが、光の乱反射によるフレア、ゴーストというものが写真に写ることがあります。厳密にはレンズ表面やレンズ鏡筒の反射、レンズの収差に依るもので、画面がぼんやり光のベールのようなものに包まれたり、実際にあるはずのない場所が輝いていたりします。写真のコントラストが低下してややぼやけた雰囲気でシャープさに乏しい写真になります。絞りの形がはっきりと現れているものに関して特にゴーストと呼んでいます。
対策としてはレンズを製造している各会社ごとにレンズコーティングやレンズコバ(レンズのフチ部分)の塗装や溝付け、内面反射処理などを施すことでフレアを軽減しています。もちろんレンズフードを装着することも対策の基本です。近年コーティングによる軽減効果は著しいようで、単純な逆光だとフレアが目立たないレンズも多く見受けられます。
ですが、冬の低い位置から差し込む西日などがレンズの真横方向から飛び込んでくると、画面にフレアやゴーストが突如発生します。基本的に一眼レフカメラやコンパクトカメラのファインダーやライブビューでも目視できるので、ハレーション切りといって手や大きめの板などで直射光を遮ればフレアを消すことができます。
しかし、広角レンズなどではどうしても光を遮ることができなかったりするので、あえてフレアを残して撮影するか、もしくは撮影位置を変更することになります。また、ズームの焦点距離域によってもフレアの具合は変化します。標準域では目立たないのに望遠域で目立つ場合などもあります。レンズ内を光がどういう角度で侵入して反射するかがレンズによって異なるので、特にご自身が使用されているズームレンズで何mmぐらいが目立つかなど知っておくといいかもしれません。