種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2015.01.16【Vol.201】
写真撮影、特に風景撮影は天候に大きく左右されてしまいます。晴れが言いかと思えば荘でもなく案外曇りや雨のほうがしっとりとした雰囲気を演出することにも繋がるからです。
ただ、天候について言及するのもカメラマンのエゴなのかもしれません。そのときの天候に応じて柔軟な撮影姿勢を心がけたいものです。
しかし、そうはいっても晴れてくれなければ困る、見えないと困るという被写体もあります。その代表ともいえるのが富士山ではないでしょうか。夕陽、朝日についても同じことが言えるのですが、こちらは時間との兼ね合いがありシビアです。一方、富士山の場合は、もしかしたら場所を変えると見えるかもしれなかったり、時間が経てば見えるかもしれないという希望は持てます。
2013年のコラム富士山を撮影してみようにも書きましたが、望遠レンズは三脚は必須。望遠は300mm程度の焦点距離も使います。三脚はもちろんパイプ径の太いしっかりしたもの、必要であればストーンバッグなどがあるといいでしょう。地図や方位磁石などがあると、撮影地と時間、太陽の状況を記録で起案す。最近ではカメラ側に搭載される位置情報やGPSでの管理もいいでしょう。このように撮影したときの細かなデータ作りが次からの撮影に役立ちます。
さて、この季節の富士山は山肌の半分以上が雪に隠れています。山肌の暗い様子と雪のバランスも富士山を美しく見せるポイントではないでしょうか。4月ごろになれば少し雪も減ってくるので山肌のコントラストも出てきます。1月2月の雪の多いシチュエーションでは超望遠で山肌の雪を狙うのもいいでしょう。また、夕焼けや朝焼けも空気が澄んでいて狙いやすいでしょう。また、急激な上昇気流により形成される、富士山の定番ともいえる笠雲や吊るし雲。富士山に限らず山を撮影しているとまれに見かけますが、富士山のそれは形が特に美しいといわれています。雨が降る前兆であったり、または土砂降りの後に突然表れたりと、周辺の天候の変化と密接に関連しているようです。
天候が悪くても、すぐにあきらめず、それは予期せぬシャッターチャンスにめぐり合えると考えてみるのもいいでしょう。