種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.10.21【Vol.292】
小江戸、小京都と呼ばれるなど、日本各地には武家、商家、港町といった江戸から明治、大正時代の名残を現代に伝える町並みが数多く残ります。また、山村の集落や、宿場町、門前町なども古い町並みを感じさせてくれます。現代の建物の意匠とはまったく異なるノスタルジックな佇まいがとても絵になります。地元の方に話を聞くことでもいろいろな被写体探しができます。
最近では景観を重視して電柱が取り払われ、電線も埋設されている場所も多くなり、町並みが一層美しくなった場所もあります。軒先や建物とともに入り込んでいた電線は気になる存在でしたが、あるとなしでは、空の様子一つ見ても大変すっきりとしていて、とても撮影しやすくなりました。町の特徴もそれぞれあり、地域から産出、生産される材料を使った家作りや、町の区割りは見どころです。以前のコラム「昔の路地を撮ろう」でも述べたように、人々の生活、地域性を切り取るといいでしょう。一日かけてじっくりと歩くことで、時間による町の変化も見られます。
スナップ撮影ですので三脚を構えてじっくりと狙うよりは気ままに目に付いた被写体を撮影していけばいいと思います。あれこれレンズで悩むなら標準ズーム一本でOKですし、35mmから50mmぐらいの焦点レンズだけで撮影するのもオススメです。町の景観や全体の雰囲気を狙うのであれば24mmなどの超広角レンズも便利ですが、建物を撮る場合広角レンズを多用すると、どうしても建物の軒先に対して斜めから狙い、遠近感を見せた写真だけになったり、建物に余計なパースが付いた写真になりがちですので注意が必要です。
作例は千葉県香取市佐原で撮影したものです。
町並み 1の写真は軒下の部分が暗く落ち込んでしまい、手前の歩道の部分が明るくなったので多い焼きで明るさのバランスを調整しました。
町並み 2の写真は、快晴に秋ならではの雲をコントラスト強く表現するためにモノクロ、レッドフィルターを使用した画像処理を行っています。
町並み 3の路地の写真は、画面下の石畳と砂利の部分のコントラストを強め少し明るく見せています。