種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.08.26【Vol.284】
近未来的な景色や色とりどりの輝きが美しい人気の工場夜景。自治体が観光客誘致でツアーを行うなど依然ブームは続いているようです。
非常にフォトジェニックで独特な景色で、コンテストや作例写真などでも多くの写真を見かけるようになりました。工場それぞれが持つ独自のライティングが見せる美しさやプラントの持つ鉄骨やダクトなどの景観に面白さがあります。
撮影は普通の夜景撮影と変りなく、三脚とレリーズで固定して撮影すればOKです。露出も通常はカメラまかせの露出で大丈夫ですが、バルブで任意の秒数に設定して撮影してもいいでしょう。工場から棚引く煙や蒸気を写すには15秒、30秒、1分などといった長秒露光でとらえるとまた面白い情景になります。空に雲があれば露光中に風で流れた様子が記録されて、肉眼では見ることのできない不思議な空模様も見ることができます。飛行機が飛んでいれば連続した光の点滅が記録できたりします。
撮影時の注意ですが、海岸や運河沿いに多い工場地帯は海風が強く吹く場合もあり、三脚が風で揺れてしまうこともあります。ストーンバッグの併用であったり、重量のある三脚を使用して三脚のブレを軽減することに努めてください。また、1分以上の露光をかける場合は風が止んだタイミングを見計らって数十秒単位の露光を何度か繰り返した多重露光で撮影してみるのも方法です。また、ミラーショックを軽減するためのミラアップ機能も併用しておくといいでしょう(ライブビュー撮影やミラーレスカメラであればそのままでもOKです)。なお工場地域は企業の私有地でもあり、立ち入り禁止区域も多いので、現場でのルールを遵守して撮影を行ってください。
作例1は海沿いに並んだコンテナクレーンの様子をとらえたもの。絞りを絞って点光源からの光芒を出しています。
作例2は横位置で広めに撮影したものです。露光時間は5秒程度です。WB機能でやや無機質でクールなトーンにしてみました。空の雲や煙の流れる姿も確認できます。
作例3はHDR機能を使用し彩度をなくして加工したもの。モノトーンに仕上げています。コントラストは強めています。