種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.03.04【Vol.259】
日照時間も長くなり、少しずつ気温も上昇し外での撮影も楽な季節になってきました。
「早春の小さな花を撮ろう」でも書いているように、マクロレンズ一本で楽しめる野草の撮影ですが、標準ズームレンズや望遠ズームレンズでも撮影は可能です。単焦点レンズによる大口径を活かしたボケも花の撮影におすすめです。標準ズームになるとマクロレンズほどの撮影倍率は望めませんが、最短撮影距離自体はマクロレンズとあまり変わりません。おおむね25センチから45センチぐらいを最短撮影距離に設定している標準ズームが多く、望遠側を使えばボケを意識した野草の撮影も可能になります。カメラ一台と標準ズーム一本でのスナップがてら、道端で見つけた小さな花の撮影も面白いでしょう。
実際の撮影ですが、花の色が黄色や淡いブルーであればプラス補正で明るく仕上げておくと柔らかい雰囲気を演出できます。そして、薄曇りや日陰のほうが、花本来が持つ色のグラデーションは表現しやすいでしょう。
一見、陽があたる場所に咲く花は色鮮やかでコントラストも高く写真映えしそうです。確かに光りがあたり輝く姿はキレイなのですが、光があたる反対側に現れる影の状況には注意が必要です。暗い影がぼやっと少しだけ入るのならいいのですが、くっきりと画面に大きく写りこむとせっかくの花の色や柔らかい雰囲気は半減します。花の咲いている場所が必ず日陰とは限りませんので、そんな時は、自分自身の影を使って撮影してみるのも一つの方法です。日陰に入る花には余計な陰影が現れず、輝度差がないので露出の決定も易しくなります。日陰を意識した花の撮影にも挑戦してみてください。