種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.07.22【Vol.279】
前回簡単にお話したPLフィルターを実際に使用する際の注意点や、その効果についてみていきます。
PLフィルターのもつ偏光効果が最も高くなるとされる「被写体と太陽に対しする角度、反射面に対して30~45度くらい」の撮影位置についてですが、正確な太陽と被写体の角度を計算して撮影するのは難しい。ですので、ほとんどの場合はファインダーや液晶画面を通して偏光効果を確認していく必要があります。フィルター回転枠を回していくと次第にファインダー像が暗くなっていきますが、それが偏光効果のきき具合の目安です。一番暗くなった部分が最も反射が抑えられた状態で撮影できるということです。自宅などでPLの効果を確認したい場合、PCの画面やTVの画面を見ながらPLフィルターを回転してみると偏光効果がよくわかります。
それでは、PLフィルターを使って反射を抑えた写真はPLフィルターを使わなかったときとどれ位違って見えるのか。
まず、ガラスの反射に見えるPLフィルターの効果の違いです。これは水面の反射でも同じような効果が表れます。右の画像がPLあり、左がなしです。
次に植物の反射です。緑の葉の表面の反射がなくなり緑が濃くなりました。花そのものの色にも変化が出ましたし、背景にぼやけて見える反射の様子にも違いがあります。
いずれの作例も、PLフィルターなしのものはレンズからPLを外し、PLありのものは、わかりやすくするために最大濃度まで偏光効果をかけています。
なお、PLフィルターを使用した際に問題となる偏光ムラですが、広角レンズ使用時、特に偏光効果を強くした場合に影響が出ることが多く、光(太陽光)が被写体に向かって横方向から差し込んでくる場合に目立ちます。広角レンズで捉えた空一面、反射率が同じであればムラは出ないでしょうが、やはり大気の状態で光の進み具合も違い、ムラ避けられないのでしょう。広角レンズでのPL使用を避けるか、偏光効果を強くかけ過ぎないなどの対策が必要です。