種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.03.18【Vol.261】
レンズを被写体に近づけて撮影倍率を上げるアクセサリーに接写リングがあります。カメラとレンズの間にその接写リングを挟むことで撮影倍率が上がり、結果として被写体をより大きく撮影することができるというわけです。
多くのレンズは最短撮影距離において撮影倍率が最大になり、標準ズームレンズの倍率だと約0.2~0.3倍程度、マクロレンズでは等倍(例えば1センチのものをイメージセンサー上に1センチの大きさで写すことができる)になるものも多く存在します。そして、接写リングを使用することで等倍以上の大きさで被写体を撮影することが可能になります。
例えば花の蕊(しべ)など肉眼では小さくて細部まで確認しにくい被写体なども画面いっぱいになるほど大きく撮影できます。
接写リングの取り扱いは難しいものではなく、単にレンズとボディーとの中間に接写リングを装着するだけです。接写リングを使った撮影では、近接撮影に合わせた光学系を持つマクロレンズとの組み合わせがオススメですが、レンズマウントの径が合えば、広角、標準、望遠レンズなどと組み合わせても使用可能です(電子接点などの干渉がないかなど、使用可能レンズについてはメーカーHPなどで確認してください)。撮影時の露出ですが、カメラの露出計を参考にマニュアルもしくは絞り優先で撮影するといいでしょう。カメラにTTL露出計が入る前は、レンズ繰り出し量に応じた係数をかけて露出倍数を計算しなければなりませんでしたが、現在のデジタル一眼レフで撮影するのであれば面倒な計算をすることなく手軽に近接撮影ができます。
また一部AFが作動する接写リングも存在しますが、ピントを合わせにくいときも多く、ピント合わせはマニュアルフォーカスが前提となります。被写界深度は非常に浅くなりますので、ピント合わせはシビアに行う必要があります。三脚にしっかり固定してライブビューを併用すれば、ブレを防いでピントを落ち着いて合わすことができます。