種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.08.12【Vol.282】
動きのある被写体を撮影するときに是非行ってみたい流し撮り。動くモノはブレずに、しっかりと写り背景が線のように流れて動感を表現できます。シャッター速度一つで目の前の被写体の動きが大きく変化するのは、写真が最も得意とする表現の一つでしょう。
動体撮影で被写体そのものを写しとめたい場合は高速シャッター(例えば1/250以上など)を使用すればぴったり止まって写ってくれます。物体の動いている様は表現できませんが、周囲の状況も含めて目の前の光景そのままが写ります。肉眼では速すぎて目にできないものも止まって見えることから、乗り物だけに限らず、小さな虫や動物の仕草なども高速シャッターを使った表現が可能です。
一方の流し撮りですが、スローシャッターを用いることで主要な被写体(乗り物など)の背景をブラして写すことができます。
撮影方法はシンプルで、カメラを任意のスローシャッターに設定(動くものの早さや背景の様子に応じて変更します)、被写体にピントを合わしつつ、(AIサーボなどを使用)被写体を捉え、動いていく方向にカメラを横もしくは縦方向に振りながらシャッターを切ります。ポイントは動いている被写体の速度に合わせてカメラを動かす(フレーム内の常に一定の位置や大きさで捉えておく)、横方向の場合は縦ブレに気をつけるなどが挙げられます。
ただし多かれ少なかれ被写体の上下動によるブレもでてくるので、被写体がしっかりと止まって背景がきれいに流れた1枚は初めのうちはなかなかうまく撮影できません。カメラが決めてくれる露出やWBなどの仕上がりとは異なり、高い撮影技術が求められる流し撮りは、何度も繰り返し撮影してコツを掴んでいくしかないでしょう。
流し撮りで撮影した3枚の作例ですが、新幹線の写真はシャッター速度1/10、手前に少し黄色い葉っぱを入れて前ボケ部分も流しています。飛行機の写真は夕暮れ時に1/30で撮影したものです。窓枠や文字なども比較的止まって写りました。最後の競馬の写真は1/15で撮影。直線で競争馬や騎手も動きがあり被写体ブレが目立ちますが、騎手のヘルメットはしっかり止まり、また背景に見える白い内ラチは上下にぶれることなくキレイに横方向に流れてくれました。