種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.05.20【Vol.270】
バラの花はその数約2万種類以上もあるといわれ、園芸品種の中でも最も有名といっても過言ではない花の一つです。日本では主に5月中旬から6月にかけて、そして10月頃に花の見ごろを迎えます。バラ園や植物園のみならず、洋館の並ぶ庭園や地域の公園などでも毎年しっかり手入れをされている場所であればその美しい姿を写真におさめることができます。
品種によって異なる特徴的な花びらの形と色の組み合わせがバラの魅力です。まずはそれらをポイントに撮影してみてもいいでしょう。らせん状に渦巻く独特の花びらにマクロレンズでクローズアップしてみたり、カーブを描く花びらの輪郭を強調してみたり、とげのある茎や深い緑色の葉を入れて、花一輪を狙うと面白いです。特に白や黄色、淡い藤色のバラを撮影する際、背景や周囲に緑の葉を入れることで、明暗差が際立ち周囲が暗く落ち込むことで花の色が浮かび上がって見えます。なお、サイズも比較的大きく、近づいて撮影できる花ですので、標準ズームレンズで寄るだけでも十分なボケを作ることができます。もちろん望遠レンズや大口径レンズによるボケを生かしてもバラの美しさを強調できます。
日陰や曇り空の下で撮影すれば影が出ず、花の色はしっとりと濃く表現できますし、晴れた日であれば、鮮やかに光を反射する色とりどりの表現ができます。その際PLフィルターを使って光の反射をコントロールすることで花びらが持つ色にさまざまな変化を与えますし、また花びらだけでなく背景や周囲にある緑の葉の表面のテカリを抑えてくれます。作例は45mmF1.8単焦点レンズ、100mmマクロレンズ、標準ズームで撮影したものです。時々日差しが差す薄曇りのなか、花びらに影が出ないよう光の位置に注意して撮影しました。WBはすべてオート、仕上がり設定(ピクチャースタイル)はスタンダードにて撮影しています。