種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.04.01【Vol.263】
公園や土手、食用として畑に栽培されたものなど、身近に咲く花としても、春の風物としても親しまれている菜の花。黄色一色に染まるその光景は明るく輝くようでとてもきれいです。
人工的に植えられているのか、広範囲であったり、固まって群生しているものがほとんどですので、まずは花畑一面で狙ってみます。遠景、真ん中(中景)、近景を意識して画面を3つに別けてフレーミングすると、平面的な菜の花畑に距離感が生まれてきます。近景、中景は菜の花畑、遠景は空や林、森など、菜の花とは違ったものを配置するといいでしょう。
ピントは菜の花に合わすことがセオリーですが、背景を大きくぼかして手前の一部分を強調するため画面前景にピントを合わせる、前後のボケを活かした菜の花畑を狙うため中景にピントを合わすといったように、同じシチュエーションでもイメージを変えて撮影することもできます。注意したいのは、広角レンズで広々と狙ったり、接近して撮影すると、地面の茶色い土や緑の茎が目立ってしまい、せっかくの黄色一色の光景の魅力が半減するということです。できれば50mm以上の焦点距離で狙い、菜の花の間の隙間をなくして撮影するといいでしょう。
また、接近すれば花一輪を狙うことも可能です。その際、マクロや望遠で大きくクローズアップし前後を大きくぼかすことで、一輪を際立たせます。花そのものはそれほど可憐というわけではなく、近づけば緑の茎も目立ちます。それを前後のボケで目立たなくすることが狙いです。前ボケはレンズに菜の花が近づけば近づくほど大きくぼやけて、画面全体を黄色く包んでくれます。背景のボケは焦点距離や絞りによって変化しますが、中望遠で開放F2.8程度あればキレイに柔らかくボケてくれます。