種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.05.13【Vol.269】
時期としては少し早いですが、6月頃に見ごろを迎える菖蒲の撮影について。季節の花であることから昔から多くの人に親しまれている花の一つです。余談ですが、英語で菖蒲のことを「Iris」と呼ぶようで、レンズの虹彩絞りも同じく「Iris」と呼んだりします。
淡い紫から濃い紫まで、色の表現がなかなか難しい花ですが、ややアンダー目の露出で色を濃く見せるのもポイントです。また、日陰や薄曇りの日のほうが花の色を出しやすいでしょう。もちろん晴天の日差しがあるシーンでもコントラストよく色を見せることが可能です。
6月頃の花ですので、太陽の位置も日中は高く真上から光が降り注いできますので、不自然な影は現れにくいと思いますが、一方で花びらに光が強く照り返してしまう場合もあるので、太陽の光が強い場合は露出をしっかり確認しましょう。生育している場所は柵などで囲われているところがほとんどですので、撮影に望遠レンズは必須です(200mm程度あると便利です)。マクロレンズで大きくねらう事もできますが、緑の細い茎と広く花全体の形を含めて撮影するとキレイでしょう。
かきつばた、しょうぶ、あやめとほとんど似たような花ですが、菖蒲に関していえば、花びらの付け根辺りが黄色くなっているのが特徴のようで、湿った水田のような場所で生育しています。キレイに咲いている期間は案外短いので、撮影のタイミングを逃すと茶色くしおれたものが目立ってきます。また、朝、日中と時間帯(気温)によっても花の状態に変化が見られます。光の状態に加え、花そのものの形の変化についても注目して撮影してみるといいでしょう。