種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.04.08【Vol.264】
つい先日開花~満開とニュースで聞いたばかりと思いきや、すでに東京では風に飛ばされていく満開を過ぎた桜の花びらを多く見かけます。今年は花曇りの日が長く続いているように感じられ、確かにピーカンのようにコントラストの高い青空と桜の風景はあまり撮影できませんでしたが、淡いピンク色や霞がかった雰囲気の桜は撮影できました。
桜の咲く地域の気温で咲き具合には大きく違いがみられますし、この先桜の見ごろを迎える地域もたくさんあるのですが、一足先に、散り際、散った後の桜の花びらに意識を向けてみました。満開の日はわずか一日と言われたりもしますが、必ずしも満開だけが撮影のピークと言うわけではありません。朝陽や夕陽の撮影でもそうですが、太陽そのものだけを狙うのではなく、陽が上がる直前、陽が落ちる直前や直後に見られるグラデーションも綺麗ということと似ているかもしれません。
写真は自宅近くの公園や、都内新宿御苑で見つけた花びらです。足元ばかり見ながら歩いていれば、いずれもすぐに発見できるような光景ですが・・・。一つだけ気を付けたのは、花びらが踏み荒らされていないということです。朝早く撮影に行ったり、人があまり通らない場所だと花びらがきれいに残っていることが多いでしょう。天気はどれも雨上がりの曇りのときに撮影していますから、強い反射などは見られず、雨に濡れたようなしっとりした雰囲気は見えています。花筏の写真は、排水溝の出口で滞留している桜を、スローシャッターを使い撮影したものです。
桜流しの雨によって出来上がる花びらいっぱいの地面の様子、花いかだや零れ桜といったように、季節を表す言葉にも見られるように、桜が散っていく様子や散った後の様子の美しさも写真におさめてみてはいかがでしょう。