種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.09.16【Vol.287】
HDRとはHigh Dynamic Rangeの頭文字をとった言葉で、映像、画像として記録できる明るさ(輝度差)の幅を広げる機能のことです。最近のデジタル一眼レフやコンパクトカメラ、スマートフォンのカメラ機能には標準で備わっているものがほとんどです。スチールカメラ以外でも、映像製作カメラ、薄型テレビや家庭用ゲーム機などでもHDR機能が使われています。
写真で考えてみると、肉眼では明部と暗部を両方確認できているのに、写真に写すと明部もしくは暗部の情報がしっかりと記録されない(白トビや黒つぶれ)ことがよくあります。快晴の青空と日影の部分を両方画面に入れた場合、どちらか一方の明るさに露出をあわせた場合などがこれにあたります。明るさに大きな差があると(輝度差が大きいと)そのいずれかに露出を合わせと片方の明るさは犠牲にしなければなりません。
しかしHDR機能は光を感じて記録できる幅(輝度差)を広げて画像を記録できるわけですから、白トビ、黒つぶれを軽減した画像を作ることができます。HDR撮影は実際には複数枚露出の異なる写真を撮影して重ね合わせることで生成しています。出来上がる画像は1枚であっても(撮影した枚数を保存するカメラもあります)、複数枚合成した写真ですので、撮影時にカメラ自体が動いたり、被写体が動くものであればブレて記録されることになります。撮影会などでも、「明部も暗部も一回のシャッターを切っただけで平均的に肉眼に近いように表現できないのか」といった質問が挙がるのですが、現在のところたった一枚撮影するだけで幅広い輝度を十分に再現することは難しいようです。
次回はHDR機能を使って撮影及び画像処理をおこなった作例を紹介してみます。